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水素水は放射線治療のQOL(生活の質)を良くする
水素水は放射線治療のQOL(生活の質)を良くする
Effects of drinking hydrogen-rich water on the quality of life of patients treated with radiotherapy for liver tumors. (肝臓腫瘍の放射線治療を受けた患者の生活の質に対する水素水の飲用の効果) Medical Gas Research 2011;1:11. doi:10.1186/2045-9912-1-11.
【要旨】 背景:放射線治療を受けているがん患者は倦怠感や生活の質(QOL)の低下をしばしば経験する。放射線治療の副作用の多くは、放射線照射中に発生する活性酸素種による酸化ストレスや炎症の亢進によるものと考えられている。 水素は治療目的での医療用ガスとしても利用されており、抗酸化作用をもち、組織における炎症を軽減する効果がある。 この研究では、水素を含有させた水(hydrogen-supplemented water)を飲用するという水素治療が放射線治療を受けている患者のQOL(生活の質)を改善できるかどうかを検討した。 方法:肝臓の悪性腫瘍に対して放射線治療を受けている49人を対象に、水素を含有させた水(hydrogen-rich water)を飲用する効果を検討するために、無作為プラセボ比較臨床試験を行った。 水素水は飲用水の中に金属マグネシウムの棒(metallic magnesium stick)を入れて作成した。最終的には水素濃度は0.55~0.65 mMであった。 患者の健康状態やQOL(生活の質)は欧州がん研究・治療機構(European Organization for Research and Treatment of Cancer:EORTC)が開発したEORTC-QLQ-C30の韓国版を用いて行った。 末梢血における活性酸素種の代謝産物の濃度や生物学的抗酸化能(biological antioxidant power)を測定した。 結果:水素水の6週間の飲用は血中における活性酸素代謝産物の量を減らし、血液の抗酸化能を維持した。水素の含有しない水(プラセボ)を飲用した群(対照群)に比べて、水素水を飲用した群では放射線治療中のQOLスコアが顕著に良好であった。 プラセボ群と水素水飲用群との間には、放射線治療の奏功率に違いは認めなかった。 結論:水素水の日常的な飲用は、放射線照射後のQOL(生活の質)を改善する方法として新規で治療効果の高い治療法であることが示された。
水素水の飲用は、放射線治療の抗腫瘍効果を弱めることなく、放射線照射によって引き起こされる酸化ストレスに対する生体応答を減弱させることができる。
(注)
放射線治療を受けると、倦怠感、吐気、食欲低下、うつ症状などの症状が急性期の副作用として現れます。照射した部分の皮膚には皮膚組織のダメージが起こります。また、時間がたってから現れる後遺症として、がんの発生、中枢神経系や循環器の疾患、白内障などがあります。
このような副作用や後遺症は照射した部位や量や照射法や治療を受けた人の放射線感受性の違いなどに左右されます。
これらは、放射線照射によって発生する活性酸素種による酸化ストレスや炎症反応によって生じると考えられており、生活の質(QOL)を低下させる要因になっています。
水素はヒドロキシラジカルを選択的に消去します。
水素水の飲用や水素ガスの吸入が動脈硬化、2型糖尿病、メタボリック症候群、老化やパーキンソン病などに伴う認知機能の低下などに対して有効な治療効果を示すことが報告されています。
この論文では、人間でのランダム化プラセボ対照比較臨床試験で、水素水の飲用が放射線治療中の患者の抗酸化能を高め、QOL(生活の質)の改善に効果があるという結果を報告しています。
この研究では、水素が0.55~0.65 mMの含有量の水素水を1日2000cc飲用しています。
プラセボとの比較では、倦怠感、抑うつ症状、睡眠、吐気、下痢には差を認めていませんが、食欲低下や味覚障害の改善効果は水素水の飲用で統計的に有意な改善を認めています。
副作用を軽減しても、抗腫瘍効果を妨げると意味がありません。そもそも放射線照射は細胞内や組織の水分子に放射線があたって発生するヒドロキシラジカルの細胞傷害作用でがん細胞を死滅させます。
したがって、ヒドロキシラジカルを消去する水素が抗腫瘍効果を妨げる可能性があります。この点については、水素水飲用群と対照群で放射線治療の奏功率で比較しています。
腫瘍の縮小の率(完全奏功と部分奏功)は水素水飲用群が50.0%、プラセボ群が48%で治療効果に違いは無いという結果でした。
また、水素水飲用による肝機能やその他の血液検査の異常は認められていません。
以上の結果から、放射線治療中に水素水を多く摂取することは、放射線治療の副作用を軽減し、放射線治療に伴うQOLの低下を予防する方法として有効であるという結論です。