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ビタミンD3+メトホルミン+ケトン食が乳がんに効く可能性がある

f-gtc (2015年10月18日 07:09)

ビタミンD3+メトホルミン+ケトン食が乳がんに効く可能性がある

Effects of Pre-surgical Vitamin D Supplementation and Ketogenic Diet in a Patient with Recurrent Breast Cancer.(再発乳がん患者における術前のビタミンD補充とケトン食の効果)Anticancer Res. 2015 Oct;35(10):5525-32.

【要旨】
研究の背景:19歳で出産した1児の母親である女性が、1985年(37歳)に右の乳がんと診断された。患者は腫瘍の摘出(乳房温存手術)とリンパ節廓清、放射線治療を受けた。
1999
年に左乳房に乳がんが見つかり、切除と放射線治療が行われ、さらにホルモン療法(タモキシフェン)を6年間受けた。
2014
年の3月に、1985年に手術と放射線治療を受けた乳腺の残存乳腺組織から浸潤性乳管がんが発見された。
症例報告:術前の生検による病理検査では、プロゲステロン受容体(PgR)の発現は少なく(<1%)、エストロゲン受容体(ER)は強陽性(90%)で、ヒト上皮増殖因子受容体(HER2)は陽性(>10%, score 2+)、増殖活性を示す核タンパク質Ki67は強陽性(30%)であった。
診断から手術まで3週間あり、その間の治療の計画が無かったので、患者は自分の判断で、ビタミンD3(1日10,000 IU)と厳格なケトン食を実施した。
結果:右乳房切除を行われた。切除組織の病理検査でHER2の発現は全く認めず(陰性、score 0)で、PgRの発現は亢進していた(20%)。ERKi67の陽性度は変化なかった。
結論:この症例は、高用量のビタミンD3とケトン食の併用は、乳がん細胞のHER2発現を抑制し、プロゲステロン受容体の発現を亢進するなど、乳がん細胞の生物学的性状に影響を及ぼす可能性を示唆している。

これは1例の症例報告ですので、高用量のビタミンD3とケトン食の併用が乳がんに有効かどうかのエビデンスは低いのですが、高用量のビタミンD3とケトン食はそれぞれ乳がんに対する効果が報告されているので、この2つの治療の併用を試してみる価値はあるかもしれません

また、ビタミンD3とメトホルミンの相乗効果は乳がんや前立腺がんや大腸がんなどで報告されています。メトホルミンはAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)を活性化してAkt/mTORシグナル伝達系を阻害し、がん細胞の増殖を抑制します。ビタミンD3はメトホルミンの抗腫瘍効果を高めます。次のような報告があります。

Synergistic antitumor activity of vitamin D3 combined with metformin in human breast carcinoma MDA-MB-231 cells involves m-TOR related signaling pathways. (ヒト乳がん細胞MDA-MB-231細胞におけるビタミンD3とメトホルミンの併用による相乗的な抗腫瘍効果はmTOR関連のシグナル伝達系が関与する)Pharmazie. 2015 Feb;70(2):117-22.

メトホルミンは2型糖尿病の治療に使用されていますが、最近の多くの研究によって、メトホルミンとビタミンDは多くのがん細胞に対して抗腫瘍効果を示すことが示されています。
この研究では、ヒト乳がん細胞株MDA-MB-231を用いて、ビタミンD3とメトホルミンの併用はアポトーシス誘導において相乗効果があることを報告しています。その抗腫瘍効果の発現にはmTOR関連のシグナル伝達系が関与することを報告しています。つまり、ビタミンD3とメトホルミンはmTOR(哺乳類ラパマイシン標的蛋白質)の活性を阻害することによってアポトーシスを誘導することを示しています。
前立腺がんや大腸がんでも同様の効果が報告されています。

Vitamin D3 potentiates the growth inhibitory effects of metformin in DU145 human prostate cancer cells mediated by AMPK/mTOR signalling pathway. (ヒト前立腺がん細胞DU145におけるAMPK/mTORシグナル伝達系を介するメトホルミンの増殖阻害作用をビタミンD3は増強する)Clin Exp Pharmacol Physiol. 2015 Jun;42(6):711-7.

前述のようにメトホルミンはAMPKを活性化してAkt/mTORシグナル伝達系を抑制し、抗腫瘍効果を発揮します。ビタミンD3はメトホルミンのAkt/mTORシグナル伝達系の抑制効果を増強して、アポトーシス誘導を亢進するという作用機序です。
Akt/mTOR
シグナル伝達系は、インスリンやインスリン様成長因子-1IGF-1)などの増殖因子や成長因子で活性化され、タンパク質や脂質の合成や、細胞分裂や細胞死や血管新生やエネルギー産生などに作用してがん細胞の増殖を促進します。
メトホルミンはAMP依存性プロテインキナーゼ(AMPK)を活性化し、活性化してAMPKmTORを抑制することによって、がん細胞の増殖を抑制します。
 

Combined use of vitamin D3 and metformin exhibits synergistic chemopreventive effects on colorectal neoplasia in rats and mice. (ビタミンD3とメトホルミンの併用はラットとマウスの結腸直腸がんの発生に対して相乗的な化学予防効果を示す)Cancer Prev Res (Phila). 2015 Feb;8(2):139-48.

この研究はラットとマウスを用いた大腸発がん実験での検討です。メトホルミンは化学発がんモデルで大腸がんの発生を抑制する作用があります。ビタミンD3はメトホルミンの発がん抑制作用を増強するという結果です。そのメカニズムとして、mTOR活性の抑制を認めています。さらに、ビタミンD3にはビタミンD受容体/β-カテニンのシグナル伝達系に作用してβ-カテニンの働きを抑制することによってc-MycやサイクリンD1の発現を抑制する作用も指摘しています。

ビタミンD3とメトホルミンの併用は、相乗効果によって発がん抑制や抗腫瘍効果を高めることができるという結論です

ケトン食もAMPKを活性化し、Akt/mTORシグナル伝達系を抑制します。したがって、ケトン食を実践しているとき、ビタミンD3とメトホルミンを併用すると、抗腫瘍効果を高めることができます。

進行した乳がんの代替医療として、高用量(1日400010000国際単位)のビタミンD3とメトホルミン(1日10001500mg程度)とケトン食の組合せは、相乗効果が期待できると考えられます。ビタミンD3もメトホルミンも安価ですので、試してみる価値は高いと言えます。
この組合せは乳がんだけでなく、大腸がんや膵臓がんや肺がんなど他のがんにも効果が期待できます。
 

ケトン食は酸化ストレスを高めて肺がんの放射線化学療法の効果を高める

f-gtc (2013年8月31日 12:23)

ケトン食は酸化ストレスを高めて肺がんの放射線化学療法の効果を高める

Ketogenic diets enhance oxidative stress and radio-chemo-therapy responses in lung cancer xenografts.(ケトン食は移植肺がんの実験モデルにおいて、酸化ストレスと放射線化学療法の奏功率を高める)Clin Cancer Res. 2013 Jul 15;19(14):3905-13.


【要旨】
目的:ケトン食は脂肪が多く、糖質とタンパク質が少ない食事で、細胞のエネルギー(ATP)供給源を解糖系からではなく、脂肪酸の酸化とミトコンドリアでの呼吸によるATP産生を強制する食事である。

正常細胞に比べてがん細胞は、ミトコンドリアでの代謝によって慢性的な酸化ストレスの状態にあると考えられている。本研究では、移植肺がんの動物実験モデルを用いて、「ケトン食が酸化ストレスを高めることによって放射線化学療法(radio-chemo-therapy)の奏功率を高める」という仮説を検証した。

実験方法: NCI-H292A5492種類の肺がん細胞株を移植したマウスを通常食かケトン食(脂肪:タンパク質+糖質のカロリー比が4:1)で飼育し、通常の分割照射(1回1.82グレイ)か少分割照射(1回6グレイ)か通常の分割照射にカルボプラチンを併用した治療を行った。

マウスの体重と腫瘍のサイズを測定した。腫瘍組織の酸化ストレスのレベルは過酸化脂質生成物のヒドロキシノネナールで修飾されたタンパク質の量で、細胞増殖の程度はPCNAproliferating cell nuclear antigen:増殖性細胞核抗原)の量で、DNAダメージの程度はリン酸化ヒストンH2AX(γH2AX)の量で、それぞれ評価した。

結果:NCI-H292細胞とA549細胞を移植したマウスの両方において、放射線治療単独群に比べて、放射線治療とケトン食を併用した群の方が、腫瘍の増殖速度はより低下した(P < 0.05)。
放射線治療とカルボプラチンの化学療法を併用した場合も、ケトン食を与えた群の方が通常食(コントロール)群より腫瘍の増殖速度が低下した。放射線治療とケトン食を併用したマウスの腫瘍組織では、ヒドロキシノネナールで修飾されたタンパク質の量で測定される脂質酸化による酸化障害の程度が高く、PCNAの免疫染色で評価される細胞増殖のレベルは低下した。

結論:これらの実験結果は、肺がんを移植したマウスの実験系において、ケトン食は酸化ストレスを高めることによって、放射線化学療法の効果を高めることを示している。

 

【原文】

Clin Cancer Res. 2013 Jul 15;19(14):3905-13. doi: 10.1158/1078-0432.CCR-12-0287. Epub 2013 Jun 6.

Ketogenic diets enhance oxidative stress and radio-chemo-therapy responses in lung cancer xenografts.

Allen BG, Bhatia SK, Buatti JM, Brandt KE, Lindholm KE, Button AM, Szweda LI, Smith BJ, Spitz DR, Fath MA.

Source

Authors' Affiliations: Free Radical and Radiation Biology Program, Department of Radiation Oncology, Holden Comprehensive Cancer Center and Department of Biostatistics, College of Public Health, The University of Iowa, Iowa City, Iowa; and Oklahoma Medical Research Foundation, Oklahoma City, Oklahoma.

Abstract

PURPOSE:

Ketogenic diets are high in fat and low in carbohydrates as well as protein which forces cells to rely on lipid oxidation and mitochondrial respiration rather than glycolysis for energy metabolism. Cancer cells (relative to normal cells) are believed to exist in a state of chronic oxidative stress mediated by mitochondrial metabolism. The current study tests the hypothesis that ketogenic diets enhance radio-chemo-therapy responses in lung cancer xenografts by enhancing oxidative stress.

EXPERIMENTAL DESIGN:

Mice bearing NCI-H292 and A549 lung cancer xenografts were fed a ketogenic diet (KetoCal 4:1 fats: proteins+carbohydrates) and treated with either conventionally fractionated (1.8-2 Gy) or hypofractionated (6 Gy) radiation as well as conventionally fractionated radiation combined with carboplatin. Mice weights and tumor size were monitored. Tumors were assessed for immunoreactive 4-hydroxy-2-nonenal-(4HNE)-modified proteins as a marker of oxidative stress as well as proliferating cell nuclear antigen (PCNA) and γH2AX as indices of proliferation and DNA damage, respectively.

RESULTS:

The ketogenic diets combined with radiation resulted in slower tumor growth in both NCI-H292 and A549 xenografts (P < 0.05), relative to radiation alone. The ketogenic diet also slowed tumor growth when combined with carboplatin and radiation, relative to control. Tumors from animals fed a ketogenic diet in combination with radiation showed increases in oxidative damage mediated by lipid peroxidation as determined by 4HNE-modified proteins as well as decreased proliferation as assessed by decreased immunoreactive PCNA.

CONCLUSIONS:

These results show that a ketogenic diet enhances radio-chemo-therapy responses in lung cancer xenografts by a mechanism that may involve increased oxidative stress. Clin Cancer Res; 19(14); 3905-13. ©2013 AACR.

カプリル酸中性脂肪とケトン食は筋萎縮性側索硬化症の進行を遅くする

f-gtc (2013年5月12日 07:50)

カプリル酸中性脂肪とケトン食は筋萎縮性側索硬化症の進行を遅くする

 

Caprylic Triglyceride as a Novel Therapeutic Approach to Effectively Improve the Performance and Attenuate the Symptoms Due to the Motor Neuron Loss in ALS Disease(筋萎縮性側索硬化症における運動機能の効果的な改善と運動神経細胞の死滅による症状の緩和の為の新しい治療法としてのカプリル酸トリグリセリド)PLoS One. 2012; 7(11): e49191.

米国ニューヨーク州のマウントサイナイ医科大学(Mount Sinai School of Medicine)の神経科からの報告です。

【要旨】

筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic lateral sclerosis ALS) は運動神経細胞の変性による進行性の筋萎縮や麻痺が起こり、最終的には死に至る病気である。ALS患者における進行性の筋力低下や衰弱は生活の質(QOL)を悪くし、日常生活の活動を制限する。

ALS患者の脊髄においては、ミトコンドリアにおける電子伝達系の酵素の活性が低下しているためにエネルギー産生に障害がある。したがって、ミトコンドリアの機能を改善する方法はALSの治療法として可能性がある。

マウスのALSの実験モデルであるG93A ALSマウスにケトン食を投与すると、血清ケトン体の上昇に伴って、筋力低下の進行が著明に遅くなり、死亡率も低下した。

この実験では、ケトン体に代謝されて神経細胞のエネルギー源として利用される中鎖脂肪酸トリグリセリドのカプリル酸トリグリセリド(カプリル酸中性脂肪)をSOD1-G93Aマウスに投与した。

カプリル酸中性脂肪の投与によって、SOD1-G93Aマウスにおける筋力低下の進行は遅くなり、脊髄の運動神経の死滅は減少した。その結果、このALSマウスにおいて、生存期間に関しては明らかな差(メリット)は認めなかったが、運動能力の著明な改善が認められた。

カプリル酸中性脂肪は生体内においてミトコンドリアにおける酸素消費率を促進した。

カプリル酸中性脂肪が、ALSの発症時においてエネルギー代謝を改善することによってALS型の運動神経障害を緩和することが我々の実験によって示された。これらの結果は、ALS患者のQOLの改善において、カプリル酸の投与が簡単で有効性の高い治療法であることを示唆している。

 

(コメント)

筋萎縮性側索硬化症(amyotrophic lateral sclerosis、通称ALS)は、運動神経細胞の進行性の死滅によって、筋肉の萎縮と筋力低下が起こり、発症後3〜5年程度で呼吸筋麻痺により死亡する(人工呼吸器の装着による延命は可能)神経変性疾患です。治癒のための有効な治療法は確立されていません。

カプリル酸(caprylic acid)は炭素数8個の中鎖脂肪酸で、分子式はC8H16O2です。神経細胞はグルコース(ブドウ糖)とケトン体しかエネルギー源として利用できないのですが、中鎖脂肪酸はケトン体の産生を増やすので、神経組織のエネルギー産生を改善できます。その他にも、ケトン体にはエピジェネティックな遺伝子発現調節作用の関与や、抗炎症・抗酸化・抗アポトーシスの機序による神経細胞保護作用も指摘されています。

米国では中鎖脂肪酸トリグリセリド(中鎖脂肪酸中性脂肪)のカプリル酸トリグリセリドがアルツハイマー病の治療に有効な医療食( medical food) として認可されています(2009年3月にFDAが認可)。
この論文では、カプリル酸中性脂肪は、ALSの症状の改善にも有効である可能性を示唆しています。
カプリル酸中性脂肪を多く摂取し、糖質を制限して血中のケトン体値を十分に高めれば、ALSの進行をさらに抑えることができると思います。

【原文】

PLoS One. 2012; 7(11): e49191.

Published online 2012 November 7. doi:  10.1371/journal.pone.0049191

PMCID: PMC3492315

Caprylic Triglyceride as a Novel Therapeutic Approach to Effectively Improve the Performance and Attenuate the Symptoms Due to the Motor Neuron Loss in ALS Disease

Abstract

Amyotrophic lateral sclerosis (ALS) is a neurodegenerative disorder of motor neurons causing progressive muscle weakness, paralysis, and finally death. ALS patients suffer from asthenia and their progressive weakness negatively impacts quality of life, limiting their daily activities. They have impaired energy balance linked to lower activity of mitochondrial electron transport chain enzymes in ALS spinal cord, suggesting that improving mitochondrial function may present a therapeutic approach for ALS. When fed a ketogenic diet, the G93A ALS mouse shows a significant increase in serum ketones as well as a significantly slower progression of weakness and lower mortality rate. In this study, we treated SOD1-G93A mice with caprylic triglyceride, a medium chain triglyceride that is metabolized into ketone bodies and can serve as an alternate energy substrate for neuronal metabolism. Treatment with caprylic triglyceride attenuated progression of weakness and protected spinal cord motor neuron loss in SOD1-G93A transgenic animals, significantly improving their performance even though there was no significant benefit regarding the survival of the ALS transgenic animals. We found that caprylic triglyceride significantly promoted the mitochondrial oxygen consumption rate in vivo. Our results demonstrated that caprylic triglyceride alleviates ALS-type motor impairment through restoration of energy metabolism in SOD1-G93A ALS mice, especially during the overt stage of the disease. These data indicate the feasibility of using caprylic acid as an easily administered treatment with a high impact on the quality of life of ALS patients.

ケトン食はアディポネクチンの産生を増やす

f-gtc (2012年12月31日 08:28)

ケトン食はアディポネクチンの産生を増やす

肥満した小児および青年における低カロリー食と比較したケトン食の代謝に対する影響Metabolic impact of a ketogenic diet compared to a hypocaloric diet in obese children and adolescents.J Pediatr Endocrinol Metab. 2012;25(7-8):697-704.

【要約】

背景:小児における代謝パラメーターに対する糖質制限食(ケトン食)の影響は十分に検討されていない。

目的:肥満している小児と青年におけるケトン食と低カロリー食の有効性と代謝に対する影響を比較する。

対象:58人の肥満者をケトン食と低カロリー食のどちらかに振り分けて6ヶ月間の食事療法を行った。

方法:食事療法の開始前と終了時(6ヶ月後)において、身体測定値(Anthropometric measurements)、身体成分(body composition)、経口ブドウ糖負荷試験(oral glucose/insulin tolerance test)、血清脂質の値(lipidemic profile)、高分子量アディポネクチン値、インスリン抵抗性を評価するwhole-body insulin sensitivity index (WBISI) homeostatic model assessment-insulin resistance (HOMA-IR)の測定と評価を行った。

結果:低カロリー食とケトン食の両方のグループにおいて体重、体脂肪量、腹囲、空腹時インスリン値、インスリン抵抗性指数(HOMA-IR)の著明な減少あるいは低下を認めた(ケトン食はp=0.009、低カロリー食はp=0.014)。しかし、効果はケトン食の方が高かった。
両グループともインスリン感受性(WBISI)は統計的有意に上昇したが、高分子量アディポネクチンの増加を認めたのはケトン食のグループだけであった(p=0.025)。

結論:ケトン食療法は、体重の減量や代謝数値の改善において低カロリー食よりも効果が高く、肥満小児の体重減量の治療法として、安全で実施可能な食事療法であることが明らかになった。


(訳者注)

この研究で最も注目すべき点は、高分子量アディポネクチンの値が、低カロリー食では有意な上昇を認めず、ケトン食でのみ増加が認められた点です。

アディポネクチンは脂肪細胞から分泌される善玉ホルモンのような蛋白質で、肝臓や筋肉細胞のアディポネクチン受容体に作用してAMP活性化プロテインキナーゼ(AMPK)を活性化し、インスリン抵抗性を改善し、動脈硬化や糖尿病を防ぐ作用があります。さらに、がん細胞におけるAMPKの活性化は様々な抗がん作用を発揮します。
百歳を超えるような超高齢者ではアディポネクチンの産生量が高く、これが長寿とがん発生率の低下に関与している可能性が指摘されています。がんの発生率や罹患率やがんによる死亡率は80歳代をピークにして、90歳代以降は急激に減少することが明らかになっていますが、その理由の一つとして、超高齢者では体脂肪が減少し、アディポネクチンの産生が高くなっていることが関与している可能性が指摘されています。

アディポネクチンは血中に1分子ずつバラバラにではなく、複数個がくっついた形で存在しています。低分子量(3量体)、中分子量(6量体)、高分子量(1218量体)です。中でも高分子量アディポネクチンが生理活性が強いことが知られていますので、活性の高い高分子量のアディポネクチンの値がケトン食で増加したことは、ケトン食が寿命の延長やがんの予防に効果があることを示唆しています。

また、アディポネクチンには、がん細胞の増殖や転移の抑制など様々な抗がん作用があることが報告されています。人の胃がん細胞を移植したマウスにアディポネクチンを注射すると、がんが著しく縮小したという報告があります。

また、ラットを使った実験で、ケトン食が、脂肪組織におけるアディポネクチンmRNAの量を増やすことが報告されています(J Clin Neurosci. 2010 Jul;17(7):899-904. 

ケトン食は、がん細胞へのブドウ糖(グルコース)の供給を減らし、さらにインスリンやインスリン様成長因子の産生を減らすことによって増殖シグナルを低下させるメカニズムなどによって抗がん作用を発揮します。さらに、ケトン食が寿命延長作用と抗がん作用のある高分子量アディポネクチンの産生を増やすという臨床試験の結果は、ケトン食の抗がん作用をさらに支持することになります。

 

【原文】

J Pediatr Endocrinol Metab. 2012;25(7-8):697-704.

Metabolic impact of a ketogenic diet compared to a hypocaloric diet in obese children and adolescents.

Partsalaki IKarvela ASpiliotis BE.

Source

Research Laboratory of the Division of Pediatric Endocrinology and Diabetes, Department of Pediatrics, University of Patras School of Medicine, Patras, Achaea, Greece.

Abstract

BACKGROUND:

The effects of carbohydrate-restricted (ketogenic) diets on metabolic parameters in children have been incompletely assessed.

OBJECTIVE:

To compare the efficacy and metabolic impact of ketogenic and hypocaloric diets in obese children and adolescents.

SUBJECTS:

Fifty-eight obese subjects were placed on one of the two diets for 6 months.

METHODS:

Anthropometric measurements, body composition, oral glucose/insulin tolerance test, lipidemic profile, high molecular weight (HMW) adiponectin, whole-body insulin sensitivity index (WBISI), and homeostatic model assessment-insulin resistance (HOMA-IR) were determined before and after each diet.

RESULTS:

Both groups significantly reduced their weight, fat mass, waist circumference, fasting insulin, and HOMA-IR (p = 0.009 for ketogenic and p = 0.014 for hypocaloric), but the differences were greater in the ketogenic group. Both groups increased WBISI significantly, but only the ketogenic group increased HMW adiponectin significantly (p = 0.025).

CONCLUSIONS:

The ketogenic diet revealed more pronounced improvements in weight loss and metabolic parameters than the hypocaloric diet and may be a feasible and safe alternative for children's weight loss.

アボカドに含まれる脂肪族アセトゲニンは上皮成長因子受容体(EGFR)を介したシグナル伝達系を阻害してがん細胞の増殖を抑制する

f-gtc (2012年10月17日 08:40)

アボカドに含まれる脂肪族アセトゲニンは上皮成長因子受容体(EGFR)を介したシグナル伝達系を阻害してがん細胞の増殖を抑制する

 

Aliphatic acetogenin constituents of avocado fruits inhibit human oral cancer cell proliferation by targeting the EGFR/RAS/RAF/MEK/ERK1/2 pathway. (アボカド果実の脂肪族アセトゲニン成分はEGFR/RAS/RAF/MEK/ERK1/2経路を標的とすることによりヒト口腔がん細胞の増殖を阻害するBiochem Biophys Res Commun. 409(3): 465-469. 2011

 

【要旨】

アボカド(Persea americana)果実は人間の食物の一部として消費され、その抽出エキスが様々なヒトがん細胞に増殖阻害効果を示すことが報告されているが,個々の成分の有効性やその作用機序はほとんど明らかになっていない。

アボカド果実の果肉を、活性を指標として成分を分け(分画),クロロホルム可溶性抽出物(D003)が前悪性および悪性ヒト口腔がん細胞株に対し高い有効性を示すことを確認した。

この抽出物から、既知の構造を持つ2つの脂肪族アセトゲニン、化合物1(2S,4S)-2,4-ジヒドロキシヘプタデス-16-エニル酢酸]と化合物2(2S,4S)-2,4-ジヒドロキシヘプタデス-16-イニル酢酸]を単離した。

本研究において我々は、このクロロホルム抽出物の増殖阻害活性がEGFR/RAS/RAF/MEK/ERK1/2がん経路のEGFR(Tyr1173),c-RAF(Ser338),そしてERK1/2(Thr202/Tyr204)のリン酸化の阻害によることを初めて明らかにした。

化合物12は共にc-RAF(Ser338)ERK1/2(Thr202/Tyr204)のリン酸化を阻害した。化合物2のみ、EGFによって誘導されるEGFR(Tyr1173)の活性化(リン酸化)を阻止した。化合物12を組み合わせると,それらはc-RAF(Ser338)ERK1/2(Thr202/Tyr204)のリン酸化とヒト口腔がん細胞の増殖に対して相乗的に阻害した。本研究結果により、アボカド果実の抗がん作用が、EGFR/RAS/RAF/MEK/ERK1/2がん経路の2つの鍵となる構成要素を標的とする特異的な脂肪族アセトゲニンの組み合わせによることが示唆された。

 

【訳者注】

野菜や果物から多くの抗がん成分が見つかっています。アボカドはビタミン・ミネラルなどの栄養素が豊富で、糖質が少なく、オレイン酸を主体とする脂肪が多いなど、他の野菜や果物とは異なる特徴を持っています。
アボカドに含まれる抗がん成分についても基礎研究が行われています。アボカドには多彩なカロテノイドが豊富で、しかも脂肪が多いので、脂溶性のカロテノイドの吸収が良いことが報告されています。

この論文では、他の野菜や果物に含まれないアボカドに特徴的な成分の脂肪族アセトゲニンが、上皮成長因子(EGF)がその受容体(EGFR)に結合して活性化されるEGFR/RAS/RAF/MEK/ERK1/2というシグナル伝達系を阻害してがん細胞の増殖を阻害する作用を報告しています。EGFRを標的とした抗がん剤としてEGFRチロシンキナーゼ阻害剤(イレッサ、タルセバ)や抗EGFR抗体(アービタックスなど)が使用され、その有効性が報告されています。EGFR/RAS/RAF/MEK/ERK1/2シグナル伝達系は多くのがん細胞において活性化されているので、この経路を阻害する作用は抗がん作用が期待できます。この研究は培養細胞を使った実験なので、アボカドを多く食べて、どの程度の抗腫瘍効果が期待できるかは不明です。ただ、糖質が少なく、オレイン酸が豊富で、カロテノイドなどのビタミン・ミネラルが豊富なので、がんの中鎖脂肪ケトン食には有用な食材です。

 

【原文】 

Biochem Biophys Res Commun. 2011 Jun 10;409(3):465-9. Epub 2011 May 8.

Aliphatic acetogenin constituents of avocado fruits inhibit human oral cancer cell proliferation by targeting the EGFR/RAS/RAF/MEK/ERK1/2 pathway.

D'Ambrosio SM, Han C, Pan L, Kinghorn AD, Ding H.

Source

Department of Radiology, College of Medicine, The Ohio State University, Columbus, OH 43210, USA.

Abstract

Avocado (Persea americana) fruits are consumed as part of the human diet and extracts have shown growth inhibitory effects in various types of human cancer cells, although the effectiveness of individual components and their underlying mechanism are poorly understood. Using activity-guided fractionation of the flesh of avocado fruits, a chloroform-soluble extract (D003) was identified that exhibited high efficacy towards premalignant and malignant human oral cancer cell lines. From this extract, two aliphatic acetogenins of previously known structure were isolated, compounds 1 [(2S,4S)-2,4-dihydroxyheptadec-16-enyl acetate] and 2 [(2S,4S)-2,4-dihydroxyheptadec-16-ynyl acetate]. In this study, we show for the first time that the growth inhibitory efficacy of this chloroform extract is due to blocking the phosphorylation of EGFR (Tyr1173), c-RAF (Ser338), and ERK1/2 (Thr202/Tyr204) in the EGFR/RAS/RAF/MEK/ERK1/2 cancer pathway. Compounds 1 and 2 both inhibited phosphorylation of c-RAF (Ser338) and ERK1/2 (Thr202/Tyr204). Compound 2, but not compound 1, prevented EGF-induced activation of the EGFR (Tyr1173). When compounds 1 and 2 were combined they synergistically inhibited c-RAF (Ser338) and ERK1/2 (Thr202/Tyr204) phosphorylation, and human oral cancer cell proliferation. The present data suggest that the potential anticancer activity of avocado fruits is due to a combination of specific aliphatic acetogenins that target two key components of the EGFR/RAS/RAF/MEK/ERK1/2 cancer pathway.

カルニチン欠乏が無くても、カルニチンを補えば、脂肪酸酸化を高めることができる。

f-gtc (2012年9月19日 15:45)

カルニチン欠乏が無くても、カルニチンを補えば、脂肪酸酸化を高めることができる。

 

健常成人における長鎖脂肪酸の酸化に対するL-カルニチンのサプリメントによる補充の効果(Effects of oral L-carnitine supplementation on in vivo long-chain fatty acid oxidation in healthy adults.Metabolism 51 (11): 1389-91, 2002

【要旨】

L-カルニチンの基本的な作用機序に関する文献は多数あるが、健常な人間に正常な状態においてL-カルニチンをサプリメントとして経口投与したとき、脂肪酸の酸化に対する効果に関しては、不明な点も多い。カルニチン欠乏のある時には、L-カルニチンの補充が長鎖脂肪酸の代謝を正常化させることは良く知られている。

しかしながら、脂肪酸代謝に異常が無い健常人にL-カルニチンを投与した場合に、長鎖脂肪酸の代謝にどのような影響を及ぼすのかに関しては、検討されていない。

そこで、この研究では、L-カルニチンをサプリメントで投与(1日1gづつを3回、10日間服用)し、投与前と投与後で、同位元素(13C)で標識したパルミチン酸の酸化を測定した。その結果、L-カルニチンを投与すると、13CO2の呼気への排泄が著明に増加した。

この研究結果より、カルニチン欠乏や脂肪酸代謝異常が無い健常人においても、L-カルニチンをサプリメントで補うことによって、長鎖脂肪酸の酸化を高めることが明らかになった。

 

【訳者注】

脂肪酸のうち、炭素の数が812個の中鎖脂肪酸の場合は、消化管でグリセロールと脂肪酸に分解されたあと、中鎖脂肪酸は門脈から直接肝臓に運ばれ、すぐに肝臓のミトコンドリアで分解され、エネルギー産生に使用されます。中鎖脂肪酸はミトコンドリアに単独で入れます。

一方、炭素数が14以上の長鎖脂肪酸は、小腸で吸収されたあと、カイロミクロンとなってリンパ管へ入り、胸管から血液に入って、主に脂肪組織や筋肉組織に運ばれ、多くは貯蔵されます。エネルギーが必要になったとき、脂肪酸に分解され、ミトコンドリアに入って代謝されますが、このときL-カルニチンが必要です。つまり、L-カルニチンが無いと長鎖脂肪酸はミトコンドリアには入れないのです。

L-カルニチンは体内で合成され、肉な乳製品に豊富に含まれます。

したがって、健常な人では、体内にカルニチンが十分あるので、L-カルニチンをサプリメントで補充しても、意味が無い可能性もあります。しかし、この研究では、カルニチン欠乏の無い健常な人に対しても、L-カルニチンをサプリメントで補充すれば、長鎖脂肪酸の代謝を高めることができることが示されています。

つまり、ケトン食を実践するとき、中鎖脂肪酸だけでなく長鎖脂肪酸の摂取も増えますので、長鎖脂肪酸の代謝を促進するためにL-カルニチンをサプリメントで1日1〜3グラム程度補充する意味はあるようです。

 

【原文】

Effects of oral L-carnitine supplementation on in vivo long-chain fatty acid oxidation in healthy adults.

Müller DM, Seim H, Kiess W, Löster H, Richter T.

Source

University of Leipzig, Children's Hospital, Germany.

Abstract

Despite an abundance of literature describing the basic mechanisms of action of L-carnitine metabolism, there remains some uncertainty regarding the effects of oral L-carnitine supplementation on in vivo fatty acid oxidation in normal subjects under normal conditions. It is well known that L-carnitine normalizes the metabolism of long-chain fatty acids in cases of carnitine deficiency. However, it has not yet been shown that L-carnitine influences the metabolism of long-chain fatty acids in subjects without disturbances in fatty acid metabolism. Therefore, we investigated the effects of oral L-carnitine supplementation on in vivo long-chain fatty acid oxidation by measuring 1-[(13)C] palmitic acid oxidation in healthy subjects before and after L-carnitine supplementation (3 x 1 g/d for 10 days). We observed a significant increase in (13)CO(2) exhalation. This is the first investigation to conclusively demonstrate that oral L-carnitine supplementation results in an increase in long-chain fatty acid oxidation in vivo in subjects without L-carnitine deficiency or without prolonged fatty acid metabolism.

クルミは乳がんの発生と増殖を抑制する

f-gtc (2012年9月14日 08:11)

クルミは乳がんの発生と増殖を抑制する

Suppression of implanted MDA-MB 231 human breast cancer growth in nude mice by dietary walnut.(ヌードマウスに移植したヒト乳がん細胞MDA-MB231に対するクルミによる増殖抑制効果)Nutr Cancer 60(5): 666-74, 2008

米国ウェストバージニア州のマーシャル医科大学(Marshall University School of Medicine)の生化学・微生物学教室(Department of Biochemistry and Microbiology)からの報告です。

【要旨】
クルミにはオメガ3不飽和脂肪酸やフィトステロール、ポリフェノール、カロテノイド、メラトニンなどがん細胞の増殖を抑制する成分が多く含まれている。

ヌードマウスにヒト乳がん細胞MDA-MB231細胞の移植した動物実験モデルを用い、クルミを食餌から摂取させることによって、がん細胞の増殖に影響を及ぼすかどうかを検討する目的で実験を行った。

10%コーンオイルを添加した餌(AIN-76)で飼育しているヌードマウスにがん細胞を移植した。腫瘍が直径3〜5mmになった段階で2群に分け、1群の食餌はそのままで(コントロール群)、もう1群は粉末にしたクルミを添加し、人間で1日2オンス(56g)に相当する量を与えた(クルミ投与群)。

腫瘍の増殖速度は、コントロール群では14.6 ± 1.3 mm3/日であったのに対して、クルミ投与群では2.9 ±1.1 mm3/dayで、クルミ投与によって腫瘍の増大は顕著に抑制された。

肝臓の組織中のエイコサペンタエン酸(EPA)とドコサヘキサエン酸(DHA)の含有量は、コントロール群に比べてクルミ投与群で著明に増加していた。

クルミ投与によってがん細胞の増殖は抑制されたが、アポトーシスの割合には変化は認めなかった。人間での臨床試験でクルミの抗腫瘍効果を検討する価値があると思われる。

 

【訳者注】
クルミの乳がん予防効果が示されていますが、そのがん予防作用のメカニズムの一つとして、クルミにはω3不飽和脂肪酸のα-リノレン酸が豊富であることが言及されています。α-リノレン酸は必須脂肪酸で、体内でエイコサペンタエン酸(EPAドコサヘキサエン酸(DHAに変換されます。EPADHAのがん予防効果も多くの研究で支持されています。この実験では、クルミを摂取した群では肝臓組織のDHAEPAが増加していることが示されているので、クルミの抗がん作用がα-リノレン酸の関与が高い可能性を示唆しています。

一般に、食事から摂取する不飽和脂肪酸のω3とω6の比が大きくなるほど、がん予防効果や抗がん作用が強くなることが知られています。多くの動物実験で、ω3不飽和脂肪酸が乳がんの発生率を低下させることが示されています。

ただ、クルミの抗がん作用には、ω3不飽和脂肪酸のα-リノレン酸だけでなく、フィトステロールやポリフェノールやカロテノイドなどの相乗効果と考える方が妥当かもしれません。動物実験でクルミの抗腫瘍効果を検討した報告は多数あります。遺伝子改変の発がんマウスを使った実験でもクルミの発がん抑制効果が示されています。以下の論文は上に紹介した論文と同じ研究グループからの報告です。

 

Dietary walnut suppressed mammary gland tumorigenesis in the C(3)1 TAg mouse.(食餌からのクルミ摂取はC(3)1Tagマウスにおける乳がん発生を抑制する)Nutr Cancer. 2011;63(6):960-70.

【要旨】

クルミはω3不飽和脂肪酸や抗酸化物質やフィトステロールなどがん細胞の増殖を抑制する成分を多く含んでいる。以前の研究で移植した乳がん細胞の増殖をクルミの摂取が遅くすることが示されている。この研究では、クルミの摂取が乳がんの発生率を減らせるかどうかを検討する目的で行った。

オスのホモ接合C31 TagトランスジェニックマウスとメスのSV129マウスを交配させた。半接合のメスの子供(hemizygous)は乳離れしたあと、ランダムに2群に分け、一つの群は通常の餌(AIN-76)で飼育し、もう一群はクルミを含む餌で飼育し、乳がんの発生を検討した。
クルミを与えなかったコントロール群に比較して、クルミを与えたグループでは乳がんの発生頻度(腫瘍が一つ以上発生したマウスの割合)や腫瘍の数(マウス1匹当たりの腫瘍の数)やサイズが著明に減少した。
遺伝子発現の解析では、クルミの摂取によって、乳腺組織の増殖や分化に関連する複数の遺伝子の発現が変化した。
他の食品成分による介入試験との比較から、クルミのがん予防効果の全てをω3不飽和脂肪酸の含有だけでは説明できなかった。
この研究結果は、クルミを日頃から食べることは、乳がんを減らす健康的な食事に貢献する可能性が示唆された。

 

【訳者注】

この論文は前述の論文と同じ研究者からの報告です。前の論文では、ヌードマウスにヒト乳がん細胞を移植した実験系でクルミの抗腫瘍効果を示していますが、この実験では、乳がんを発生するように遺伝子を改変したマウス(トランスジェニックマウス)の実験モデルでクルミの乳がんの発生を予防する効果を検討しています。このトランスジェニックマウスは成長とともに乳がんを自然発症するのですが、乳離れしたあとの餌にクルミを混ぜて与えると、乳がんの発生が著明に抑制されることを示しています。つまり、小さいときから日頃からクルミを食べることは乳がんの予防に有効かもしれないということを意味しています。
動物実験で乳がんを予防しても、それが人間でも有効かどうかは人間での臨床試験の結果がでるまでは確定できませんが、循環器疾患などではクルミの予防効果が人間で証明されていますので、日頃からクルミを食べることは推奨されると思います。

クルミとフラックスシードオイル(亜麻仁油)は抗がん作用がある。

f-gtc (2012年9月 9日 20:18)

クルミとフラックスシードオイル(亜麻仁油)は抗がん作用がある。

食餌中のクルミは血管新生を抑制することによってマウスに移植した大腸がんの増殖を阻害する(Dietary walnuts inhibit colorectal cancer growth in mice by suppressing angiogenesis.Nutrition 28(1): 67-75, 2012

【要旨】

目的:動物実験において、フラックスシードオイルを補充した食餌が大腸がんの増殖を抑制することが示されている。最近の研究では、大腸がんの培養細胞を使った試験管内での実験で、クルミが大腸がん細胞に対して強い増殖抑制作用を示すことが報告されている。しかし、動物実験でのクルミの抗腫瘍効果や、フラックスシードオイルとクルミを併用した場合の効果に関しては検討されていない。この研究の目的は、動物移植腫瘍を使った実験モデルで、食餌中のクルミの大腸がんに対する抗腫瘍効果と、フラックスシードオイルの抗腫瘍効果との比較を行うことにある。

方法:ヒト大腸がん細胞HT-29細胞を6週齢のメスのネードマウスに移植し、1週間の馴化期間の後、マウス(n=48)は、総カロリーの19%程度をクルミから摂取させる群とフラックスシードオイルから摂取させる群とコーンオイル(コントロール)から摂取させる群の3つのグループにランダムに分け、25日間観察した。

結果:腫瘍の増殖速度は、コントロール群(コーンオイル摂取群)に比べて、クルミ摂取群では27%、フラックスシードオイル摂取群では43%減少した。(P < 0.05

最終的な腫瘍重量は、クルミ摂取群では33%、フラックスシードオイル摂取群では44%の減少を認め、いずれも、コントロール群との差は統計的に有意であった(P < 0.05

クルミとフラックスシードオイルの効果には統計的な差は認めなかった。代謝や内分泌系や血清抗酸化力や炎症の程度には3群間で差を認めなかった。しかしながら、クルミ摂取群とフラックスシードオイル摂取群では、血管内皮増殖因子(vascular endothelial growth factor)を含む血管新生に関連する因子の血清中の濃度がそれぞれ30%80%低下し、腫瘍の体積は縮小したにも拘らず、壊死の部分の面積は約2倍になっていた。食餌中のクルミ添加はCD34の発現レベルで評価した血管新生をコントロール群(コーンオイル摂取群)に比べて著明に抑制したが(P = 0.017 versus control)、フラックスシードオイル摂取群の血管新生阻害のレベル(CD34発現)はコントロール群と有意差を認めなかった(P = 0.454 versus control)。

結論:食餌でクルミを与えると、血管新生を抑制することによって大腸がんの増殖が阻害される。今回の動物実験の結果を人間で確認し、その作用機序を明らかにするための研究がさらに必要と思われる。

【訳者注】

クルミはナッツの中で最もω3不飽和脂肪酸のαリノレン酸が豊富です。

フラックスシードオイル(flaxseed oil)はアマ(亜麻)の種子(亜麻仁(あまに))から採れる油で、これもω3不飽和脂肪酸のα-リノレン酸が豊富です。

α-リノレン酸にはがん予防効果が報告されています。さらに、クルミやフラックスシードオイルには、抗酸化成分やがん予防成分が含まれています。

この論文では、移植腫瘍を用いた動物実験で、クルミとフラックスシードオイルががん縮小効果があることを報告しています。特に、クルミには血管新生阻害作用があることを報告しています。近年、クルミの健康作用が話題になっていますが、糖質制限と高脂肪食によるケトン食でクルミを多く摂取することは有用だと言えます。

 

原文

Nutrition. 2012 Jan;28(1):67-75. Epub 2011 Jul 27.

Dietary walnuts inhibit colorectal cancer growth in mice by suppressing angiogenesis.

Nagel JM, Brinkoetter M, Magkos F, Liu X, Chamberland JP, Shah S, Zhou J, Blackburn G, Mantzoros CS.

Source

Division of Endocrinology, Diabetes, and Metabolism, Beth Israel Deaconess Medical Center, Harvard Medical School, Boston, Massachusetts, USA.

Abstract

OBJECTIVE:

Animal studies have demonstrated that dietary supplementation with flaxseed oil inhibits colorectal cancer growth. Recent data indicate that walnuts have strong antiproliferative properties against colon cancer cells in vitro but no previous study has assessed the effects of walnuts in vivo or performed a joint evaluation of flaxseed oil and walnuts. The aim of the present study was to examine the effect of dietary walnuts on colorectal cancer in vivo and to comparatively evaluate their efficacy in relation to flaxseed oil.

METHODS:

HT-29 human colon cancer cells were injected in 6-wk-old female nude mice. After a 1-wk acclimation period, mice (n = 48) were randomized to diets containing 19% of total energy from walnuts, flaxseed oil, or corn oil (control) and were subsequently studied for 25 d.

RESULTS:

Tumor growth rate was significantly slower in walnut-fed and flaxseed-fed mice compared with corn oil-fed animals (P < 0.05) by 27% and 43%, respectively. Accordingly, final tumor weight was reduced by 33% and 44%, respectively (P < 0.05 versus control); the differences between walnut and flaxseed diets did not reach significance. We found no differences among groups in metabolic and hormonal profile, serum antioxidant capacity, or inflammation (P > 0.05). However, walnuts and flaxseed oil significantly reduced serum expression levels of angiogenesis factors, including vascular endothelial growth factor (by 30% and 80%, respectively), and approximately doubled total necrotic areas despite smaller tumor sizes (P < 0.05 versus control). Dietary walnuts significantly decreased angiogenesis (CD34 staining; P = 0.017 versus control), whereas this effect did not reach significance in the flaxseed oil group (P = 0.454 versus control).

CONCLUSION:

We conclude that walnuts in the diet inhibit colorectal cancer growth by suppressing angiogenesis. Further studies are needed to confirm our findings in humans and explore underlying mechanisms.

ケトン体が高いほど抗がん作用が強くなる

f-gtc (2012年9月 5日 07:15)

ケトン体が高いほど抗がん作用が強くなる

進行がんに対する代謝治療としてのインスリン阻害を目指す治療:10例のがん患者を対象にした安全性を妥当性を評価する予備試験Nutrition 28(10): 1028-35, 2012

米国ニューヨーク州のアルバート・アインシュタイン医科大学の放射線科のグループからの研究

【要旨】

目的:増殖の早いがんの多くは、フッ素の同位体で標識したブドウ糖(18F-fluorodeoxy glucose:フルオロデオキシブドウ糖)を使ったPETPositron Emission Tomography:陽電子放射断層撮影)検査で陽性を示す。これはがん細胞ではグルコースの取込みが亢進し嫌気性解糖系主体のエネルギー産生を行っていることによる。インスリン分泌を阻害する方法はがんの増殖を抑制することができる。

方法:進行した根治治療不可能ながん患者でPET検査で腫瘍を検出し、Eastern Cooperative Oncology Groupの基準のパフォーマンスステータス(performance status:PS)が0〜2で、諸臓器機能が正常で糖尿病が無く、最近の体重減少を認めず、BMIBody Mass Index)が20kg/m2以上の条件を満たす10例を対象にした。糖質を総カロリーの5%に制限した食事によってインスリン分泌を抑制し、栄養素摂取、体重、血清電解質、βヒドロキシ酪酸、インスリン、インスリン様増殖因子-12を測定して経過を観察した。PET検査は食事療法開始の前と終了時に実施した。

結果:10人の対象者は2628日間の糖質制限食を実施し、特に副作用を認めなかった。総カロリーの平均は治療開始前より35±6%減少し、体重は平均4%0.06.1%)減少した。食事療法開始前に腫瘍の早い進行を認めていた9例のうち5例で病状安定(stable disease)あるいは部分奏功(partial remission)をPET検査で認めた。この5例は、進行を続けた4例と比較して、3倍の食事性ケトン症(dietary ketosis)を示した。

腫瘍増殖の抑制を認めた5例と進展して4例の間には、カロリー摂取や体重減少の程度には差を認めなかった。ケトン症のレベルは血清インスリンの濃度を逆相関の関係にあった。

結論:この予備試験の結果は、インスリンの分泌を阻害する食事療法(糖質制限によるケトン食)は進行がん患者において安全に実施できる。この食事療法による抗腫瘍効果(病状安定および部分奏功)は、摂取カロリーや体重減少の程度とは関係せず、ケトン症の程度(血中ケトン体の濃度)に相関していた。標準治療の補完療法としてインスリン分泌を抑制する食事療法の有効性についてさらに大規模な臨床試験が望まれる。


【訳者注】

インスリンががん細胞の増殖を促進することは十分な根拠があります。したがって、インスリンの分泌を少なくする糖質制限食ががん細胞の増殖を抑制することも多くの動物実験や臨床試験などで示されています。

さらに、ケトン体ががん細胞の増殖を抑制する効果があり、糖質制限と高脂肪食によるケトン食が抗がん作用を示すことも最近多くの研究で明らかになっています。この報告は、進行がんの治療としてケトン食が十分に効果が期待できることを示しています。この研究で最も重要な結果は、血中のケトン体レベルが高いほど、がん細胞の増殖抑制効果が高いという点です。

摂取カロリー量や体重減少とは関連せず、ケトン体のみが奏功率と関連するということです。したがって、糖質制限と高脂肪食によるケトン食を行うとき、ケトン体を増やす工夫が最も重要だということです。

ケトン体を増やすためには、中鎖脂肪を多く摂取し、メトホルミンによって糖新生を阻害する方法は有効です。さらに、長鎖脂肪酸の吸収とβ酸化による分解を促進するために、脂肪分解酵素のリパーゼ、肝臓での長鎖脂肪酸のミトコンドリアへの運搬を促進するL-カルニチンの摂取も有効です。

このような方法を用いて、ケトン体を多く産生させると、食事だけでがんを縮小できるのです。

 

原文:

Nutrition. 2012 Oct;28(10):1028-35. Epub 2012 Jul 26.

Targeting insulin inhibition as a metabolic therapy in advanced cancer: A pilot safety and feasibility dietary trial in 10 patients.

Fine EJSegal-Isaacson CJFeinman RDHerszkopf SRomano MCTomuta NBontempo AFNegassa ASparano JA.

Source

Department of Radiology (Nuclear Medicine), Albert Einstein College of Medicine, Bronx, New York, USA.

Abstract

OBJECTIVE:

Most aggressive cancers demonstrate a positive positron emission tomographic (PET) result using (18)F-2-fluoro-2-deoxyglucose (FDG), reflecting a glycolytic phenotype. Inhibiting insulin secretion provides a method, consistent with published mechanisms, for limiting cancer growth.

METHODS:

Eligible patients with advanced incurable cancers had a positive PET result, an Eastern Cooperative Oncology Group performance status of 0 to 2, normal organ function without diabetes or recent weight loss, and a body mass index of at least 20 kg/m(2). Insulin inhibition, effected by a supervised carbohydrate dietary restriction (5% of total kilocalories), was monitored for macronutrient intake, body weight, serum electrolytes, β-hydroxybutyrate, insulin, and insulin-like growth factors-1 and -2. An FDG-PET scan was obtained at study entry and exit.

RESULTS:

Ten subjects completed 26 to 28 d of the study diet without associated unsafe adverse effects. Mean caloric intake decreased 35 ± 6% versus baseline, and weight decreased by a median of 4% (range 0.0-6.1%). In nine patients with prior rapid disease progression, five with stable disease or partial remission on PET scan after the diet exhibited a three-fold higher dietary ketosis than those with continued progressive disease (n = 4, P = 0.018). Caloric intake (P = 0.65) and weight loss (P = 0.45) did not differ in those with stable disease or partial remission versus progressive disease. Ketosis was associated inversely with serum insulin levels (P = 0.03).

CONCLUSION:

Preliminary data demonstrate that an insulin-inhibiting diet is safe and feasible in selected patients with advancedcancer. The extent of ketosis, but not calorie deficit or weight loss, correlated with stable disease or partial remission. Further study is needed to assess insulin inhibition as complementary to standard cytotoxic and endocrine therapies.

ケトン食は悪性グリオーマの放射線治療の補助療法として有効

f-gtc (2012年8月21日 12:35)

ケトン食は悪性グリオーマの放射線治療の補助療法として有効

PLoS One. 2012;7(5):e36197. Epub 2012 May 1.

 

【要旨】

ケトン食は高脂肪、低炭水化物(低糖質)の食事で、血中のケトン体の濃度を高めることによって体内のエネルギー代謝を変える。KetoCal® は市販されている食品で、ケトン比(脂肪:炭水化物+蛋白質)が4:1で必須栄養素を完全に含んでおり、難治性のてんかんのに対する非薬物治療として有効性が認められている。この食事によって誘導されるケトン血症は脳細胞の恒常性に変化を与え、悪性グリオーマなど他の神経疾患の治療にも効果が期待されている。

我々は、悪性グリオーマの頭蓋内生体蛍光マウスモデル( intracranial bioluminescent mouse model of malignant glioma)を用い、グリオーマ細胞を移植後、標準的な食事を与えるグループとケトン食を与えるグループに分けた。それぞれのグループに2x4Gの全脳照射を行い、腫瘍の増殖を生体内イメージングによって追跡した。

ケトン食を与えたマウスではケトン体のβヒドロキシ酪酸の血中濃度を上昇し、平均生存期間は標準食を与えられたマウスより約5日間延長した。

ケトン食と放射線治療の併用療法は相和効果以上であり、ケトン食を与えられて照射を受けた11匹のマウスのうち9匹において、腫瘍細胞からの生体蛍光シグナルは検出限界以下まで消滅した。ケトン食のマウスは腫瘍移植後101日後に標準食に変更したが、200日以上に渡って再発を認めなかった。

結論として、ケトン食は放射線治療の抗腫瘍効果を著明に増強した。この結果は、ケトン食によって誘導される細胞内代謝の変化は、ヒトの悪性グリオーマの標準的治療の補助療法として有用であることが示唆された。


【訳者注】

脳腫瘍に対して、ケトン食はそれだけで延命効果があり、放射線治療と併用すると、相和(additive)以上の効果で、顕著な腫瘍縮小効果を示したという内容です。ケトン食によってケトン体(アセト酢酸やβヒドロキシ酪酸)が増加し、これらケトン体はがん細胞のエネルギー産生を阻害し、放射線感受性を高めるという作用機序のようです。

脳腫瘍に対してケトン食が有効であるという報告は多数あります。この論文もその一つで、ケトン体が脳腫瘍の放射線感受性を高めるという結果を報告しています。脳腫瘍の放射線治療の最中にケトン食を実践することは有効だと言えます。

 

Abstractの原文

PLoS One. 2012;7(5):e36197. Epub 2012 May 1.

The ketogenic diet is an effective adjuvant to radiation therapy for the treatment of malignant glioma.

Abdelwahab MGFenton KEPreul MCRho JMLynch AStafford PScheck AC.

Source

Neuro-Oncology Research, Barrow Neurological Institute® of St. Joseph's Hospital and Medical Center, Phoenix, Arizona, United States of America.

Abstract

INTRODUCTION:

The ketogenic diet (KD) is a high-fat, low-carbohydrate diet that alters metabolism by increasing the level of ketone bodies in the blood. KetoCal® (KC) is a nutritionally complete, commercially available 4:1 (fat:carbohydrate+protein) ketogenic formula that is an effective non-pharmacologic treatment for the management of refractory pediatric epilepsy. Diet-induced ketosis causes changes to brain homeostasis that have potential for the treatment of other neurological diseases such as malignant gliomas.

METHODS:

We used an intracranial bioluminescent mouse model of malignant glioma. Following implantation animals were maintained on standarddiet (SD) or KC. The mice received 2×4 Gy of whole brain radiation and tumor growth was followed by in vivo imaging.

RESULTS:

Animals fed KC had elevated levels of β-hydroxybutyrate (p = 0.0173) and an increased median survival of approximately 5 days relative to animals maintained on SD. KC plus radiation treatment were more than additive, and in 9 of 11 irradiated animals maintained on KC the bioluminescent signal from the tumor cells diminished below the level of detection (p<0.0001). Animals were switched to SD 101 days after implantation and no signs of tumor recurrence were seen for over 200 days.

CONCLUSIONS:

KC significantly enhances the anti-tumor effect of radiation. This suggests that cellular metabolic alterations induced through KC may be useful as an adjuvant to the current standard of care for the treatment of human malignant gliomas.

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