マンゴスチン果皮に含まれるキサントンの抗がん作用
東南アジア原産の果物「マンゴスチン」の果皮に含まれる「キサントン(Xanthones)」という成分の抗がん作用が注目されています。キサントンを20%以上含有するマンゴスチン果皮エキス粉末 (Xanomax 20%, 米国Avesthagen社製)は、マンゴスチン果皮を80%エタノールで抽出することによってキサントンの含量を増やしたものです。
(α-Mangosteenを20%以上含有し、フラボノイド含量は40%以上)
キサントン-40はマンゴスチン果皮エキス粉末(Xanomax 20%)をカプセルに入れた製品です。1カプセル(230mg)中に200mgのマンゴスチン果皮エキス粉末(Xanomax 20%)を含みます。したがって、1カプセルに40mgのキサントン(α-Mangosteen)を含みます。全フラボノイド含量は1カプセル当り80mg以上です。1日に10〜20カプセルの服用でキサントン400〜800mgが摂取できます。
1パック300カプセル入り:9000円(税込み)

マンゴスチンとは:
マレー半島を原産地とするオトギリソウ科樹木の果実で、学名はガルシニア・マンゴスターナ(Garcinia Mangostana)です。
マンゴスチンの果実は、直径が6cmくらいでみかんの大きさです。
果皮は黒紫色で1cmくらいの厚さがあり、その中の果肉は、象牙色の透き通るような白色で、みかんのように4〜8個の房に分かれています。
この果肉にはほどよい酸味と甘味があり、なめらかな口当たりと上品な芳香を持ち、アジアでは「フルーツの女王(the queen of fruits)」、カリブ諸島では「神の食事(Food of the Gods)」という異名を持ってます。
キサントン-40
(アルミパック入り)
マンゴスチン

マンゴスチンの薬効:

東南アジア地域(インドネシア、タイ、マレーシア、フィリピンなど)では古くからマンゴスチンの果皮が民間薬として、感染症(赤痢やマラリアや寄生虫など)、皮膚疾患(湿疹や傷の化膿など)、消化器疾患(下痢や消化不良など)、炎症性疾患など多くの病気の治療に利用されていました。それは、マンゴスチン果皮には、殺菌作用・解熱作用・抗炎症作用・抗酸化作用・滋養強壮作用などの薬効があるからです。
これらの効果は、マンゴスチン果皮に多く含まれるキサントン(Xanthones)と言う成分の薬理作用によります。マンゴスチンの果実のうち食べられる果肉は果実全体の4分の1程度で、残り4分の3は、黒紫色の果皮です。この黒紫色の色素がキサントンです。
キサントンはポリフェノールの一種で、自然界には200種類以上のキサントンが見つかっています。そのうち約50種類程度のキサントンがマンゴスチン果皮から見つかっています。
キサントンは他に類をみないほど強力な抗酸化作用をもっており、さらに、抗菌・殺菌作用、抗ウイルス作用、抗炎症作用、シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害作用、がん予防作用、抗腫瘍作用などが報告されています。
発がんや炎症の悪化に関連するNF-κBという転写因子の活性を阻害する作用も報告され、がんや炎症性疾患を治療する効果が報告されています。さらに、がん細胞の増殖(細胞分裂)に関与するシグナル伝達系(MAPKやAktなどのプロテインキナーゼ類)を阻害してがん細胞の増殖を抑制する効果や、がん細胞にアポトーシス(プログラム細胞死)を誘導して、がん細胞を直接死滅させる効果が報告されています。
動物に経口摂取させた実験や人間での臨床試験で効果が認められているということは、マンゴスチン果皮に含まれるキサントンやフラボノイドが体内(血中)に吸収されて薬効を示すことを意味しています。がんの予防や治療にも効果が十分に期待できます。


キサントンの基本構造

アルファ・マンゴスチンの化学構造

ガンマ・マンゴスチンの化学構造

キサントンの抗がん作用:
多くの基礎研究によって、キサントンには強力な抗酸化作用COX-2阻害作用などの抗炎症作用がん細胞にアポトーシス(細胞死)を誘導する作用、転写因子NF-κB活性の阻害作用、細胞増殖を促進するMAPキナーゼやAktなどのプロテインキナーゼの阻害作用などが報告されています。キサントンには強力な抗菌作用があるので、感染症の予防にも効果が期待できます。キサントンにはがん細胞を攻撃するナチュラルキラー細胞の活性を高める効果も報告されています。
いくつかの研究を以下に紹介します。
Garcinone E, a xanthone derivative, has potent cytotoxic effect against hepatocellular carcinoma cell lines(キサントン誘導体のガルシノンEは肝臓がん細胞に対して強力な殺細胞効果を示す)Planta Med. 68: 975-979, 2002
台湾の漢方医学国立研究所からの研究で、マンゴスチンに含まれるキサントンの一種のガルシノンEという成分が、肝臓がんや胃がんや肺がんに対して抗腫瘍効果を示すことを培養細胞を使った実験で報告しています。この実験では、ガルシノンEは10μM以下の低濃度でほとんどのがん細胞が死ぬことが示されています。
50%のがん細胞が死ぬ濃度(LD50)は0.5〜5.4μMでした。この有効濃度はシスプラチン、5-fluorouracil, ビンクリスチンよりも効果が高いことを示唆しています。

ガルシノンE
Antiproliferative, antioxidation and induction of apoptosis by Garcinia mangostana (mangosteen) on SKBR3 human breast cancer cell line.(ヒト乳がん細胞株SKBR3に対するマンゴスチンの増殖抑制、抗酸化、アポトーシス誘導作用)Journal of Ethnopharmacology, 90:161-166, 2004
マンゴスチンの果皮の抽出エキスを乳がん細胞SKBR3に添加して抗腫瘍効果を検討しています。9.25 μg/mlの濃度でがん細胞の増殖を50%阻止し、抗腫瘍効果の作用機序としてアポトーシスの誘導、活性酸素の産生阻害が示唆されました。

Induction of apoptosis by xanthones from mangosteen in human leukemia cell lines.(ヒト白血病細胞に対するマンゴスチンのキサントンによるアポトーシス誘導)J Nat Prod, 66: 1124-1127, 2003
マンゴスチンの果皮から抽出した6種類のキサントンによる、ヒト白血病細胞HL60の細胞増殖に対する効果を検討しています。全てのキサントンは増殖抑制効果を示し、その中でもアルファ・マンゴスチン(alpha-mangostin)は、アポトーシス誘導作用によって10μMの濃度で完全に増殖を阻止しました。

Inhibition of cyclooxygenase and prostaglandin E2 synthesis by gamma-mangostin, a xanthone derivative in mangosteen, in C6 rat glioma cells.(マンゴスチンのキサントン誘導体のガンマ・マンゴスチンによる、ラットのグリア細胞C6におけるシクロオキシゲナーゼ活性とプロスタグランジンE2産生の阻害) Biochem Pharmacol 63:73-79, 2002
培養したラットのグリア細胞にガンマ・マンゴスチン(gamma-mangostin)を添加して、アラキドン酸代謝に対する影響を検討しています。ガンマ・マンゴスチンは、シクロオキシゲナーゼ-1(COX-1)とCOX-2の両方を阻害して、プロスタグランジンE2の産生を阻害しました。50%阻害濃度はCOX-1に対しては0.8μM、COX-2に対しては2μMでした。

Inhibitory effects of crude alpha-mangostin, a xanthone derivative, on two different categories of colon preneoplastic lesions induced by 1, 2-dimethylhydrazine in the rat.(ジメチルヒドラジン誘発性の大腸発がんにおける粗アルファ-マンゴスチンの阻害作用)Asian Pac J Cancer Prev. 5(4):433-8.2004
琉球大学医学部病理のグループからの報告で、マンゴスチン果皮に含まれるキサントンの中でもっとも多いアルファ-マンゴスチン(alpha-mangostin)が、ラットの大腸発がん過程を抑制することを報告しています。
粗アルファ-マンゴスチンはマンゴスチン果皮を酢酸エチルで抽出して再結晶化して得ています。ラットに発がん物質の1,2-ジメチルヒドラジンを注射して大腸に前がん病変を作らせる実験モデルにおいて、えさの中に0.02%と0.05%のアルファ-マンゴスチンを加えて、その効果を検討しています。その結果、えさの中にアルファ-マンゴスチンを加えたラットでは、1,2-ジメチルヒドラジンで誘発される大腸の前がん病変が統計的に有意に抑制されることが示されました。

Xanthones from the Botanical Dietary Supplement Mangosteen (Garcinia mangostana) with Aromatase Inhibitory Activity(植物性サプリメントのマンゴスチン果皮に含まれるキサントンのアロマターゼ阻害作用)J Nat Prod 71(7): 1161-1166, 2008
アロマターゼは脂肪組織でエストロゲンを産生する酵素で、アロマターゼ活性を阻害する薬はエストロゲン依存性の乳がんの治療に使われています。
この論文では、マンゴスチン果皮に含まれる12種類のキサントンのアロマターゼ阻害活性を検討し、ガルシノンD(garcinone D)、ガルシノンE(garcinone E)、アルファ-マンゴスチン(α-mangostin)、ガンマ-マンゴスチン(γ-mangostin)が用量依存的な阻害作用を示しました。
したがって、乳がんのホルモン療法にキサントンを併用すると抗腫瘍効果を高めることが期待できます。

Panaxanthone isolated from pericarp of Garcinia mangostana L. suppresses tumor growth and metastasis of a mouse model of mammary cancer. (マンゴスチン果皮から分離されたパナキサントンは、マウスの乳がんの実験モデルにおいて腫瘍の増殖と転移を抑制する) Anticancer Res. 29: 2485-95, 2009
マウスに乳がん細胞を移植する実験モデルで、食餌中に2500か5000ppmのパナキサントン(α-マンゴスチンを約80%、γ-マンゴスチンを約20%含有する)を混ぜて摂取させると、通常の食餌を摂取させたマウスと比べて、パナキサントンを投与したマウスでは、腫瘍の体積が小さく、肺の転移の数も少なかった。パナキサントンを投与されたマウスの腫瘍組織では、がん細胞のアポトーシスの頻度が高くなっていた。乳がんの治療の補助療法としてキサントンは有効かもしれない。

以上のように、長い歴史の中で民間療法として人体での有効性が認められており、さらに、近年の多くの基礎研究の結果から、マンゴスチン果皮やキサントンは、炎症性疾患やがんの治療において有効であることが示されています。
培養がん細胞を使った実験で、α-マンゴスチンの抗がん活性(50%増殖抑制濃度)は5-FU(フルオロウラシル)と同じレベルであることが報告されています。
内服の5-FUの通常の投与量は1日200〜300mgです。
したがって、キサントンを1日に400〜800mg(キサントン-40を10〜20カプセル)摂取することは、がんの治療において効果が十分に期待できると考えています。その他の動物実験や臨床研究の結果からも、抗がん作用や免疫増強作用が期待できるキサントンの服用量として1日400〜800mgが勧められます。この量のキサントンの服用では副作用は全く経験していません。
また、抗がん漢方薬やジインドリルメタンやアルテスネイトなど、抗がん作用をもった他の代替医療と併用すると、抗がん作用を増強することができます。抗がん剤と併用して、相乗的に抗腫瘍効果を高める効果が報告されています。

読売新聞(2012年5月28日)
マンゴスチンにがん抑制効果…岐阜大教授ら立証
 
東南アジア原産の果物「マンゴスチン」の果皮に含まれるポリフェノールの一種「キサントン」に、がん抑制効果があることを、岐阜薬科大学の飯沼宗和教授(生薬学)と岐阜大学大学院の赤尾幸博教授(腫瘍(しゅよう)医学)が動物実験などで立証し、がんの補完代替医療に役立つ健康食品として実用化した。
 マンゴスチンの厚い果皮は、東南アジア地域では古くから伝承薬として用いられ、抗菌や抗カビ作用があることで知られる。両教授は、果皮の主成分キサントンを抽出し、培養したヒトのがん細胞と大腸ポリープを発症したラットを使い、その効果を確かめる実験を行った。
 その結果、ヒトのがん細胞は、キサントンを低濃度で加えると48時間後に6〜7割が死滅。ラットでは、0・05%の非常に薄い濃度でエサに混ぜて食べさせると、食べない場合と比べてポリープの数が約半数に減ることが分かった。いずれも副作用はなかった。
 両教授は、キサントンの成分だけを抽出する方法も開発し、特許を取得。県や企業、病院などと連携し、キサントンの研究会を発足させ、がん治療を補完する健康食品(錠剤)として、現在、薬局や医療機関での普及を図っている。
 赤尾教授は「キサントンには抗酸化や免疫活性化の作用もあり、がん予防や再発を抑えるなどの機能性食品として優れている」と話している。
読売新聞の記事の出典はこちら:リンク切れのときはこのPDFを参照
 
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